高校生が主権者教育を学習・実践・提言する取り組み
これまで15年にわたり国や自治体の主権者教育の立案・実践に携わってきましたが、そのなかでも特に主権者教育の推進に熱心な民間団体が青年会議所(JC)です。
1949年、明るい豊かな社会の実現を理想とし、責任感と情熱をもった青年有志による東京青年商工会議所(商工会議所法制定にともない青年会議所と改名)設立から、日本の青年会議所(JC)運動は始まりました。共に向上し合い、社会に貢献しようという理念のもとに各地に次々と青年会議所が誕生。1951年には全国的運営の総合調整機関として日本青年会議所(日本JC)が設けられました。
(公社)日本青年会議所HPより
JCとの出会いは私が大学生の頃。東京都内で初めて、東京JCと共催で大学の構内で公職選挙の公開討論会を開催することとなり、実行委員長を務めさせていただいたことでした。
その時は主権者教育に取り組む前段階でしたが、松下政経塾に入卒塾して以降は本格的に全国各地のJCにご協力してきました。
東京JC(2009年・2013年)、多治見JC(2017年)、豊橋JC(2018年)、日本JC(2018年)、名古屋JC(2019年)、新城JC(2021年)と、毎年のようにご協力しています。
今回は札幌JCの未来人財育成委員会のご依頼を受け、2023年度より半年以上にわたって企画から講演まで関わりました。( 後援:北海道教育委員会、札幌市教育委員会 )
高校生が主権者として政治参加する意識を育むだけではなく、これからの札幌を担うまちづくりのリーダーとしての実践力も養成しようとする事業になっているのが特徴です。
札幌JCの主権者教育事業の流れは、
(1)市内の高校生が札幌JCのメンバーと一緒に「主権者教育とリーダーシップ」について学ぶアカデミー(勉強会)を計3回開催
(2)アカデミーの途中で、「これからの札幌の街づくり」をテーマに、高校生たちがグループごとにフィールドワークやアンケート調査を実施。
(3)アカデミーの最後に、「これからの札幌の街づくり」について発表し、JCメンバーや講師からフィードバック。
(4)高校生が札幌JCの例会に登壇し、超党派の札幌市議会議員や大勢の市民の前で、ブラッシュアップした発表を行い、投票で1位を決定。
(5)登壇した市議会議員が中心となって高校生の提言を市政に反映できるよう検討。
ということになりました。
講師とプログラム全体のアドバイザーを務めましたが、この事業の素晴らしさは札幌JCの担当委員会の委員長の熱意と、ともに取り組まれたJCメンバーの方々にあると思います。
JCの主権者教育事業は、単発の取り組みもありますが、このように連続した事業を展開する地域も多く、「故郷のために良いプログラムを作り込もう」という意欲が伝わるので、講師としてもやりがいを感じています。
この札幌JCの取り組みは北海道新聞にも取り上げられました。
「市の課題解決法 高校生が考えたー札幌JCが催し」
北海道新聞(2024年9月3日付紙面)より
札幌青年会議所(札幌JC)は、主権者教育に関するイベントを札幌市中央区のカナモトホールで開いた。市内の高校生が、札幌市の抱える課題の解決方法を提案する発表を行った。札幌JCが投票率の低い若者世代に身近な社会課題を考える過程で、政治や地域づくりに関心を持ってもらおうと企画。市内の高校に参加を呼び掛け、6月から勉強会を開いて準備してきた。
イベントは1日に開催され、札幌市内の3校の生徒30人が参加。5つのグループに分かれて、札幌市の課題として「バスの運転手不足」や「観光活性化」などを挙げた。
札幌光星高のグループは市内に「自習できる場所が少ない」と課題を指摘。他校の生徒にアンケートを実施した上で、市内の区民センターや地区センターなどに自習室を設けることを提案した。3年生の伊藤武さん(18)は「自分たちが暮らすマチの課題解決を考える中で、政治や地域への関心が高まった」と話した。
記事にも取り上げられている「自習室に関する提言」は、高校生が的確な問題意識とそれを裏付ける丁寧なアンケート調査を行ったうえで発表されたこともあり、例会に登壇した市議会議員たちが実現に向けて検討することにもなりました。
今回ご協力した札幌青年会議所の主権者教育事業は、全国各地の青年会議所でも実践できる一つのモデルケースになったのではないかと考えています。
全国や日本JCで主権者教育を実施しようとされている方は是非ご相談ください。
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