2016年7月の参議院選挙から「18歳選挙権」が導入されました。
18歳選挙権にともない、若者の政治的リテラシーや政治参加意識を育む必要があるとして、注目されているのが「主権者教育」(シティズンシップ教育、政治教育)です。
それでは、主権者教育とは何でしょうか?
若者を選挙に行かせるためだけの教育ではありません。
低い投票率を上げるためだけに行う教育でもありません。
主権者教育とは、
様々な利害が複雑に絡み合う社会課題について、できるだけ多くの合意を形成し、今とこれからの社会をつくるために、政治に参画(=意思決定プロセスに参加)することを目指して、若者が「知り・考え・意見を持ち・論じ・決める」ことを学んでいく教育
です。
私が主権者教育に関心を持ったのは20歳の頃でした。
大学では「若者の政治参加」を推進するために、公開討論会や学生団体を企画しました。
卒業後もその情熱は薄れることはなく、日本では実践例が少なかった主権者教育について、10年以上にわたって、学校現場・シンクタンク・NPOなど様々な角度から取り組んできました。

これまでの私自身の歩みを振り返ると、主権者教育を日本全体に広げる活動や研究は、決して順調なものとは言えませんでした。
現実の政治を扱う授業は、国内の学校現場では敬遠される傾向にあること。
若者の政治参加が社会的な話題になるのは選挙の時ばかりで、大切だと分かっていても日常的に関心が集まるテーマではないこと。
政治への失望感が高まれば高まるほど、「どうせ政治に参加しても変わらないのだから、主権者教育なんかやる必要はない」という“ニヒリズム”が蔓延すること。
まさに、こうした“壁”に挑み続けてきた10年間であり、自分の無力を悔しく思うことも多々ありました。
それでも、このテーマは日本の民主主義を成熟させていくために不可欠であるという信念が、主権者教育に関する活動を支えてきました。
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このウェブサイトでは、私が取り組んできた主権者教育の実践や研究も含め、国内外の教育事例や政策状況などを、できる限り分かりやすくお伝えしていきたいと思います。
まだ日本では誰も経験したことのない「18歳選挙権社会」をどう切り拓いていくのか。
選挙の時だけ盛り上がるのではなく、日常的な「主権者教育」とはどんなものなのか。
皆さんと一緒に考え、探求することができれば幸いです。
西野 偉彦
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