鎌倉市立大船中学校にて主権者教育を授業&協議!

神奈川県で3年目!小中学校における主権者教育を推進

2019年10月15日、神奈川県の鎌倉市立大船中学校で、神奈川県教育委員会「小・中学校における政治的教養を育む教育」の公開授業と研究協議が開催されました。

選挙権年齢が満18歳以上に引き下がって以降、高校での主権者教育が全国的に広がっていますが、神奈川県では、「政治的教養」は、高校だけで取り組むものではなく、義務教育から子どもの発達段階に応じて身に付けていくべきと考えています。

この考え方に基づいて、2016年度に県教委の依頼を受け、「小・中学校における政治的教養を育む教育」検討会議の座長を務め、教員向けの「指導資料」を作成しました。

神奈川県では、「政治的教養」について以下のように定義しました。

「政治的教養」
政治そのものの仕組みや政策について学ぶだけではなく、児童・生徒の発達の段階に応じて、自分の身の周りや住んでいるまち等の身近な問題から現実社会における社会的な諸問題まで、それらを自分のこととしてとらえ、話し合い、相手を尊重し、様々な意見を自分の中で考え合わせながら、合意形成のかたちを想定し、意思を決定するに至る過程を大切にして、社会参画につなげていくこと。

選挙に投票する過程やその意義について体験的に学ぶことも大切ですが、神奈川県では、単に「政治そのものの仕組みや政策について学ぶだけではなく」として、「自分の身の周りや住んでいるまち等の身近な問題から現実社会における社会的な諸問題まで」と広くとらえることとしました。

(写真:2017年3月、神奈川県教育委員会の桐谷教育長に「指導資料」を手交)

この「政治的教養を育む教育」を実践するうえで大切な3つのポイントとして、

①主に小学校の高学年や中学校で取り上げる現実社会における社会的な諸問題についても、様々な議論や解決の方策があることをふまえたうえで、児童・生徒が現状や事 実をしっかりと認識し、「よりよい社会」とは何かを自分なりに追究していくこと

②新たな知識、技能や学習方法を求めていくだけではなく、今まで各学校において積 み重ねてきた学習に、児童・生徒の発達の段階に応じて、学習していく過程の中で 「政治的教養を育む教育」の身に付けさせたい力の視点を加えていくこと

③小学校・中学校・高等学校の12年間を見通し、発達の段階に応じた指導を系統的に行っていくこと

を掲げています。

このように、単に授業例を考えるだけではなく、指導の根幹をなす「政治的教養」をしっかりと定義した上で、小・中学校における指導の際にポイントを整理することを大切にしています。

2017年度には実践協力校連絡会が設置され、この指導資料を参考に、県内の公立小学校2校・中学校2校の計4校が実践協力校として、2018年度まで2年連続で公開授業と研究協議が行われてきました。

そして、2019年度も継続的に実践協力校連絡会が設置され、実践では3年目の座長として、協力校の先生方や各市町村教育委員会等にご協力をいただきながら、「政治的教養を育む教育」の多様化・改善・拡充に取り組んでいます。

アフリカを「自分のこと」として考える主権者教育

今回の鎌倉市立大船中学校では、1年生の社会科(地理的分野)として「世界の諸地域 アフリカ州~アフリカが本当に豊かな地域になるためには~」の単元で、政治的教養を育む教育が行われました。

当日までの5時間で、先進国と開発途上国の関係を理解し、アフリカの文化の特色、歴史的背景、産業、自然環境等から、アフリカの抱えている課題について、いろいろな角度から学び、「自分のこと」として考えてきました。

そのうえで、一人ひとりが「アフリカの人にとって本当に必要な支援とは何か」を考え、意見交換をする中で、様々な考えから自分の意見を再構築する大切さを学ぶことを目指しました。

その後の研究協議では、授業を担当された教諭の自評をお聞きした上で、生徒が「他者の意見を聞き、自分の考えを再構築する」ことができたのか、そして、「小・中学校における政治的教養を育む教育」を拡充していくために必要な取り組とは何か、について議論を行いました。

今年度も、さらに3校の小・中学校で公開授業と研究協議を行います。3年連続となる「義務教育段階における主権者教育の自治体モデル作り」を目指して取り組んでいきます。

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