3月末の指導資料の完成に向けて検討会議が開催
既にご紹介していますが、2016年5月より、神奈川県教育委員会が設置した「小・中学校における政治的教養を育む教育」検討会議の座長を務めています。
この検討会議は、
選挙権年齢が18歳に引き下げられたことを受け、小・中学校段階における政治的教養を育む教育の在り方について検討し、各学校における指導の参考となる資料を作成する。(神奈川県HP)
という趣旨のもとで、神奈川県内の小学校と中学校で、政治的教養を育む教育を行う上で教員が使用する「指導資料」を作成し配布するためのものです。
「18歳選挙権」の導入に伴い、文部科学省と総務省は高校生向けの主権者教育の「副教材」を作成しましたが、義務教育段階まではカバーできていません。
そんな中で、神奈川県教育委員会によると、小・中学校段階でも同様の「指導資料」を作成するのは、都道府県で初めての取り組みであり、国にも先駆ける新たな挑戦です。
検討会議は第二回が2016年10月に開催され、議事録が神奈川県HPに掲載されていますが、その中でも私の発言を抜粋してご紹介します。
【西野座長】
改めましてどうぞよろしくお願いいたします。まずは初めに指導資料の内容について進めていきますが、少しご挨拶させて頂きます。
先程、宮村課長からもありましたが、第1回目の検討会議は5月に開催を致しました。その後、6月には、平成23年度から神奈川県が導入しているシチズンシップ教育、政治参加教育が進んでいる学校の一つである、県立湘南台高校での授業参観、作業部会合同会議を経て、本日2回目の検討会議を迎えたという次第です。
7月に第24回参議院選挙が行われましたが、その投票率については、既に都道府県別に出ていますけれども、神奈川県は18歳と19歳の投票率は、東京都に次いで高かったということです。
18歳の投票率は53%と高い水準ですが、私が注目しているのは19歳の投票率が51%ということです。他の都道府県を見ると19歳の投票率が20%台という地域もあるなかで、なぜ神奈川県は19歳の投票率が比較的高かったのかというのは今後分析する必要があるのですが、これまで続けてきたシチズンシップ教育、政治参加教育の効果である可能性も考えられます。
ただ、第1回目の検討会議でも申し上げましたけれども、シチズンシップ教育、政治参加教育の効果は投票率だけでは測れませんので、あくまでも参議院選挙は一つの事例として捉えていきたいと考えております。
さて、本日これから皆様と協議をさせて頂きたいものですけども、10月の半ば頃に作業部会を開催いたしました。
作業部会には、私もオブザーバーとして参加をさせていただいたのですが、お手元にある先生方の指導例が、小・中学校の先生方がご自身が使う教材としてどうか、どういうものが最もいいと思うか、あるいは、他の先生方にこれだったら勧めたいというものを、それぞれの委員が分担をして、創意工夫と熱意を持って、「自分ごと」としてとらえて、作ってくださったものでございます。現在は素案ですので皆様からご意見をいただきながら更に作業部会に細かな修正等を委ねていきたいと思います。
最後の段落にあるように、この「指導資料」は、検討会議委員や作業部会委員、県教委の先生方とともに、1年間をかけて真剣に慎重に、熱意と冷静さをもって議論と検討を重ねてきました。
しかも、この第二回検討会議の後に、実際に小学校と中学校で「指導資料」をもとにした検証授業も行っており、徹底的に現場の先生方の目線に立った実用的な内容に仕上がりつつあります。
・神奈川県にとって「政治的教養を育む教育」とは何か。
・どのように「政治的中立性」を確保するのか。
・「社会科」「総合的学習の時間」「特別活動」でどのように取り組んでいくのか。
・小学校から中学校、そして高校、社会へとどう接続するのか?
・「政治的教養を育む教育」の先にどのようなビジョンを描いているのか。
「指導資料」は、2017年3月末までに完成・発表される予定ですので、詳細についてはあらためてご紹介したいと思います。
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