菅総理辞任表明!「withコロナ」の学校で主権者教育を
2021年9月3日、菅義偉 内閣総理大臣が辞任を表明しました。
自民党は直ちに総裁選を実施するわけですが、今年10月に任期満了を迎える衆議院について、いよいよ解散総選挙の日程が決まります。
次期衆院選では、これからの日本を託すリーダーは誰なのか、与党と野党による「政権選択選挙」の意味合いが強くなると考えられます。
今年は18歳選挙権(改正公職選挙法)が成立して6年でもあり、近年は若年層の投票率が低い水準になっていることから、「どのように政治・選挙への関心を高めるか」という意味で、主権者教育のあり方が問われています。
ただ、昨年から続くコロナ禍で、学校における主権者教育の実施が低調である点が課題です。
従来は、教室や体育館等に生徒を集めて、主権者教育の講演会等が行われていましたが、コロナの感染拡大により、いわゆる「三密」を避ける必要があり、生徒を集めなくても実施できる主権者教育の手法が求められています。
これまでご紹介しているように、私自身も10年以上にわたり若者の政治参加や主権者教育に取り組んできた身として、高校生等が参加する講演会の講師を多数お引き受けしてきました。(写真:読売新聞2020年1月30日付)
しかし、「withコロナ」の状況において、感染防止をしながら、生徒や先生方が安心して取り組むことができる主権者教育の実施が重要となっています。
既に、多くの学校や自治体、青年会議所等から同様のニーズを受けて考案したのが、オンラインを活用した主権者教育のプログラムです。
学校から続々依頼!オンラインで「マイ争点」を考えよう
オンラインといっても難しいことはなく、ZoomやTeams等の各学校でインストールしているビデオ会議ソフトを活用し、講師と生徒をインターネットで接続して主権者教育の出前講座を行うものです。
コロナ前から主権者教育のプログラムとして、私が全国の学校で実践しているのが「マイ争点」です。
これは、2016年7月の参院選を前に、かつてシチズンシップ教育アドバイザーを務めていた神奈川県立湘南台高校での授業実践を参考にして作成した主権者教育です。
静岡県の高校での講演をきっかけに、東京・神奈川・愛知・大阪等、多くの高校や自治体で取り組んできました。
「マイ争点」は、自分の関心のある政策テーマを選び、その政策テーマの「具体化・理由・問題点・解決策」を考えていく主権者教育です。
選挙のたびに、「報道を見ても、争点が(多くて・少なくて)よく分からない」という声を聞きますが、それなら自分が大切にするポイント(=マイ争点)を考えてみればいいのでは?-という逆転の発想からきています。
この授業は、1~2コマの授業(50~100分)で取り組むことができる手軽さと、事前学習が必要ないので教員の負担が少ないことが学校側のメリットです。
「マイ争点」はもともとニーズが高かったのですが、オンラインでの活用ができるようにしたところ、さらに多くの依頼を受けることになりました。
その中の一つが今年1月に実施した明星高等学校(東京都府中市)。
このウェブサイトを通じて依頼をいただき、「18歳選挙権って何だろう?~体験!主権者教育~」と題して登壇しました。
Zoomを活用した講演会で、高校2年生全員約100名を対象に、質疑応答も含めて80分程度でお話をさせていただきました。
講演では、18歳選挙権の意義・背景・課題、主権者教育の定義・実践(小学校・中学校・高校)、海外の先進的な若者参画の事例を取り上げ、日本・世界の両方の観点から若者の政治参加のあり方を一緒に考えていただきました。
その途中、主権者教育プログラム「マイ争点」を挟むことで、生徒の皆さんは関心をもって政治・選挙について考えることができ、終了後の質疑応答も活発に行われました。
もちろん、主権者教育は本来は日常的かつ継続的に、義務教育から段階的に取り組んでいく必要があり、選挙の時だけ盛り上がるべきではありません。
これは、神奈川県教育委員会の座長として、5年前から全国に先駆けて推進している「小・中学校における政治的教養を育む教育」のように、民主主義社会の基盤を支えるために、日々の学校生活において息の長い取り組みこそが主権者教育だと考えているからです。
とは言え、自分の一票について考え、投票に移すためには、実際の選挙を題材にした主権者教育を手掛かりに、政治参加をしていくことが大切です。
今回はオンラインをメインにご紹介しましたが、感染状況によってはリアルでの講演の対応もできるので、衆院選に向けて18歳選挙権や主権者教育に関心のある先生や学校、青年会議所等の方は、ご相談いただければ幸いです。
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