茅ヶ崎市立小学校で「環境問題の主権者教育」を実践!

コロナ禍だからこそ重要な「小中学校の主権者教育」

2020年12月2日、神奈川県の茅ヶ崎市立緑が浜小学校で、神奈川県教育委員会「小・中学校における政治的教養を育む教育」の授業実践が行われました。

神奈川県では、「政治的教養」は高校だけで取り組むものではなく義務教育から子どもの発達段階に応じて身に付けていくべきと考えています。

この考え方に基づいて、私は2016年度に県教委の依頼を受け、「小・中学校における政治的教養を育む教育」検討会議の座長を務め、教員向けの「指導資料」を作成しました。

この指導資料をベースに、2017年度から県内の小・中学校が「実践協力校」として、実際に「政治的教養を育む教育」を実施していただき、公開授業と研究協議を行っています。

【これまでの実践協力校(一部)】

小田原市立早川小学校(道徳)
藤沢市立御所見小学校(総合)
海老名市立柏ケ谷小学校(国語)
中井町立中村小学校(社会)
鎌倉市立大船中学校(地理)
三浦市立三崎中学校(地理)
平塚市立金目中学校(公民)
清川村立緑中学校(公民)

2020年度も引き続き、4年目の「実践協力校連絡会」の座長として、協力校の先生方や各市町村教育委員会等にご協力をいただきながら、「政治的教養を育む教育」の多様化・改善・拡充に取り組んでいます。

新型コロナウイルスの状況を考慮し、毎年の実践協力校連絡会で行われてきた公開授業は中止となり、今年度は県教委関係者のごく少数が参観するかたちとなりました。

今回の茅ヶ崎市立緑が浜小学校では、6年生の「総合的な学習の時間」を活用し、「環境問題を考えよう」という政治的教養を育む教育を実施。

4カ月以上かけて取り組んできた環境問題をテーマに、「自分の課題として問題をとらえ、解決に向けた話し合いをする」ことを本時の目標とした授業が展開されました。

総合的な学習の時間で主権者教育に取り組む事例は他の学校でも見られますが、緑が浜小学校の授業実践の特徴は、児童自身が「わたしたちにできること」という国語の授業をきっかけに環境問題に関心をもち、道徳の授業で「環境問題の政策を進める上で大切にするべきことは何か」について話し合った上で、自分たちで立ち上げた4つのプロジェクトを通じて実践的に学んでいる点です。

今回の授業で取り上げられた「ビーチクリーン」のプロジェクトは、湘南海岸が近いという学校の立地を生かして、児童たちが企画から実施まで提案するプロセスを経ることで、環境問題を「自分のこと」として捉えようとする姿勢が随所に感じられました。

特に、「身近な問題から政治や社会について考える」という段階的な取り組みや、「学校生活の中で自分たちができることは何なのか」という課題に真剣に考える児童の姿は、まさに政治的教養を育むことに繋がる重要な点だと実感しました。

授業後には、授業担当の教員と参観者との意見交換が行われ、私からは「コロナ禍だからこそ政治的教養を育む教育に取り組む意義」についてお話させていただきました。

今年度も小学校2校・中学校2校で「政治的教養を育む教育」の授業実践が行われており、2021年3月には県教育委員会による「実践協力校 指導事例集」が発行予定です。

(写真:毎日新聞2019年4月2日付朝刊)

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