5年連続!神奈川県教委「小中学校の主権者教育」座長に

主権者教育「先進県」神奈川モデルを構築へ

2020年9月、神奈川県教育委員会「小・中学校における政治的教養を育む教育」実践協力校連絡会が開催されることになりました。

私は神奈川県教育委員会の依頼を受け、5年前から「小・中学校における政治的教養を育む教育」に関わる会議の座長を務めています。

2016年度には「小・中学校における政治的教養を育む教育」検討会議が設置され、小・中学校段階において身に付けたい力について検討を行いました。

神奈川県では、「政治的教養」について、以下のように定義しています。

「政治的教養」
政治そのものの仕組みや政策について学ぶだけではなく、児童・生徒の発達の段階に応じて、自分の身の周りや住んでいるまち等の身近な問題から現実社会における社会的な諸問題まで、それらを自分のこととしてとらえ、話し合い、相手を尊重し、様々な意見を自分の中で考え合わせながら、合意形成のかたちを想定し、意思を決定するに至る過程を大切にして、社会参画につなげていくこと。

主権者教育(政治的教養を育む教育)というと「模擬投票」を思い浮かべる人が多いかも知れません。

たしかに、選挙に投票する過程やその意義について体験的に学ぶことも大切ですが、神奈川県では、単に「政治そのものの仕組みや政策について学ぶだけではなく」として、「自分の身の周りや住んでいるまち等の身近な問題から現実社会における社会的な諸問題まで」と広くとらえることとしました。

そして、発達段階に応じた系統的な指導「政治的中立性を確保するポイント」が盛り込まれ、現場の先生方にとって負担に感じないように、各学校で積み重ねてきた学習を活かす授業のあり方を明記した「指導資料」を作成し、県内の小・中学校に配布しました。

2017年度には実践協力校連絡会が設置され、この指導資料を参考に、県内の公立小学校2校・中学校2校の計4校が実践協力校として、2019年度まで3年連続で公開授業と研究協議が行われ、計12校で取り組まれてきました。

【2017年度】
・海老名市立柏ケ谷小学校:3年国語科「考えを深めよう」
・中井町立中村小学校:4年社会科「開発にたずさわる人々」
・三浦市立三崎中学校:2年社会科[地理的分野]「身近な地域の調査」
・平塚市立金目中学校:3年社会科[公民的分野]「地方自治と住民の参加」

【2018年度】
・秦野市立大根小学校:4年総合的な学習の時間「制服か私服か」
・藤沢市立御所見小学校:6年総合的な学習の時間「学校改革制作委員会」
・小田原市立千代中学校:2年社会科[地理的分野]「日本の資源・エネルギー」
・清川村立緑中学校:3年社会科[公民的分野]「地方自治と私たち」

【2019年度】
・小田原市立早川小学校:4年特別の教科  道徳「友情・信頼」
・大和市立下福田小学校:5年総合的な学習の時間「環境について考えよう」
・伊勢原市立伊勢原中学校:1年社会科[地理的分野]「ヨーロッパ州」
・鎌倉市立大船中学校:1年社会科[地理的分野]「アフリカ州」

このように、様々な学年や科目で実施しており、社会科・公民科だけでなく総合的な学習の時間・国語科・特別の教科 道徳 といった多様な授業実践を試みています。

2020年度は、新型コロナウイルスの感染拡大により、緊急事態宣言が発令され、休校した学校の状況を踏まえ、実践協力校連絡会の開始は9月にずれ込むことになりました。

しかし、コロナ禍だからこそ「政治的教養」を児童・生徒が育むことが一層大切になっており、私は検討会議から数えると5年連続で座長に就任することになります。

主権者教育の先進県・神奈川県では、高校における「シチズンシップ教育推進プロジェクト会議」の座長も務めていたことから、小学校から高校まで12年間における主権者教育に関わる座長として、先進的な主権者教育のモデル作りを牽引していきます。

(記事:中井町立中村小学校での授業実践を取材した毎日新聞2017年12月1日付)

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