コロナ禍を乗り越えて「主権者教育」に取り組もう!

一人ひとりが主権者として政治に向き合うために

新型コロナウイルス感染症の影響により、私たち一人ひとりの生活が、あらゆる面で大きく様変わりせざるを得なくなった2020年。

人々の間で不安と混乱が広がる中、山積する課題を解決する政治行政のリーダーシップとは何か主権者はそのリーダーをどう選んでいくのか社会の意思決定にどう参画していくべきなのか

10年以上にわたって主権者教育や若者の政治参加に取り組む身としても、世の中における政治に対する問題意識が高まっているように思います。

2015年6月の公職選挙法改正により、18歳選挙権が実現し、学校での主権者教育の導入が急速に広がりましたが、現場では主権者教育が後回しにされたり、授業内容が形骸化していく等の課題も徐々に浮き彫りになっています。

そんな中で新型コロナウイルス感染症により、社会のあり方そのものが問われることとなり、子どもも大人も政治に向き合う必要性を一層感じているのではないでしょうか。

今年は東京都知事選挙や都議会議員補欠選挙等の地方選挙が予定されている他、来年秋に任期満了を迎える衆議院総選挙も取り沙汰されています。

私自身、今年も様々な自治体・学校・メディア等から、主権者教育や政治参加に関する依頼をいただいており、「アフターコロナ」の社会を見据えた新たな授業プログラムも検討しています。

特に、自治体での公開講座等で好評をいただき、リピート依頼が非常に多い「マイ争点」は、地方選挙や国政選挙にかかわらず、いつでもどこでも誰でも取り組むことができるプログラムとして、バージョンアップしていこうと考えています。

今回は従来の授業プログラム「マイ争点」をご紹介しますので、とりわけ選挙が身近にある地域や学校等でお役に立てていただければと思います。

30分で出来る主権者教育プログラム「マイ争点」

これは、2016年7月の参院選を前に、かつてシチズンシップ教育アドバイザーを務めていた神奈川県立湘南台高校での授業実践を参考にして作成した主権者教育です。

初めて実施したのは、約4年前の参院選。静岡県立韮山高校(静岡県伊豆の国市)にて全校生徒850名に実施し、新聞にも取り上げられるなど大きな反響がありました。

「マイ争点」は、自分の関心のある政策テーマを選び、その政策テーマの「具体化・理由・問題点・解決策」を考えていくものです。

選挙のたびに、「報道を見ても、争点が(多くて・少なくて)よく分からない」という声を聞きますが、それなら自分が大切にするポイント(=マイ争点)を考えてみればいいのでは?-という逆転の発想からきています。

授業に際しては、オリジナルのワークシートを用意(下)するようにしています。

ネット情報を「見極め熟慮する」主権者教育を

この「マイ争点」の授業をする際に大切にしたいのは「情報を見極め熟慮するプロセス」です。

高校等での授業の際、私は生徒の皆さんにこう問いかけます

「例えば、経済財政って何を指しているんでしょうか?年金って毎月いくらもらえるか知っていますか?TPPって何の略でしょうか?分からない人は、スマートフォンやパソコンなどを使って調べてみながら書いて下さい」

もちろん、携帯端末の持込や使用を禁止している学校もありますが、実際の投票に際し情報を収集するためにインターネットは重要なツールです。

ネットに溢れている情報の中で、有権者としてどれを信頼(取捨選択)すればいいのか。

いわゆる「選挙ネットリテラシー」を身に付けるためにも、こうして主権者教育と連動していくことも大事ではないでしょうか。

写真は昨年6月に名古屋国際高校で実施した「マイ争点」の様子です。生徒の皆さんはスマートフォンやノートパソコンを使いながら、熱心に取り組んでいただきました。

ネットで調べると同時に、生徒の皆さんには「周りの友達と話しながら書いても構いません。途中でもどんどん話してみて下さい」とも言います。

(1)の政策項目を考えるだけでも主権者教育として有効ですが、(2)は難しいため途中で一人では書けなくなる場合もあります。

しかし、それこそ主権者教育の意味があります

そもそも正解がない社会問題、政策テーマをどう考えていくのか。自分の頭の中で深めることも大切ですが、その過程で周りの人たちと議論することも欠かせません。

熟慮する中で、周りと話して自分の意見が変わったり、新たな見方や考え方に気がつくことも、主権者教育の大切な要素だからです。

マイ争点@選挙に関心をお持ちになった先生や生徒の皆さんは、是非ご相談いただければと思います。

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