中日新聞「主権者教育の現状」識者コメント掲載

主権者教育に関する実施状況調査の結果と先進事例紹介

2023年6月2日付の中日新聞朝刊(教育面)に「主権者教育 昨年の参院選扱った高校は44.9% 文科省調査 」で、識者としてのコメントが掲載されました。

平成28年度以降、文部科学省が約3年に1度のペースで行っている「主権者教育(政治的教養の教育)に関する実施状況調査」の最新版(令和4年度)が先月公表されました。

記事では、この調査結果を分析するとともに、日本国内の主権者教育の現状と課題について具体的な事例も紹介しながらお話ししました。

WEBには掲載されていませんが、紙面では北欧(フィンランド)における主権者教育の先進的な取り組みも紹介されています。

「学校での議論が第一歩に」

 主権者教育に詳しい慶応大SFC研究所上席所員の西野偉彦(たけひこ)さん(38)は、主権者教育は「国や社会の問題を自分の問題として捉え、自ら考え判断し行動する力を身に付けさせること」と説明する。
 日本では2016年に選挙権年齢、22年に成人年齢がそれぞれ18歳に引き下げられ、「学校現場で主権者教育への意識は高まっている」と西野さん。新型コロナ禍で、一斉休校やマスクの着用、行事の中止など、子どもが政治の影響を直接感じる場面が多くみられた。22年度、高校の公民科に主権者教育を担う「公共」が新設されたが、義務教育年代から少しずつ育むべきだという。
 文部科学省の調査では、22年度、3年生に対して在学中に主権者教育をした高校の割合は94・9%。前回の19年度、前々回16年度の調査も同様の結果で、西野さんは「数字に変化はないが、工夫して熱心に取り組んでいる学校もあれば、授業で選挙の仕組みを扱えばよしとする学校もあるのでは」とみる。
 「必ずしも新しいことを始める必要はなく、部活動の予算配分や校則見直しといった校内の課題でいい。児童、生徒の発達や学校の特性に応じて、話し合って決める過程は政治参加への一歩」と力を込める。ただ、「(若者の低い)投票率を上げるために主権者教育をしよう、では本末転倒。学校での学びは社会につながっている。教員は社会への橋渡しという意識を持つことが大切」と呼びかける。

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