2025年は「18歳選挙権」成立10周年!問われるZ世代の投票率と主権者教育

選挙権年齢引き下げを盛り込んだ改正公職選挙法は2015年6月に成立

2025年は「18歳選挙権メモリヤルイヤー」とも言うべき年になるでしょう。

選挙権年齢引き下げ(18歳選挙権)が実現した公職選挙法の改正は2015年6月に成立しており、今年でちょうど10年の節目を迎えるからです。

加えて、衆議院議員総選挙があった2024年に続き、再び「選挙イヤー」となることも見逃せません。

選挙結果は国政に影響するとも言われる東京都議会議員選挙と、参議院議員通常選挙が、それぞれ夏に実施されるだけではなく、12年に一度重なる年になるからです。

さらに衆議院議員総選挙も取り沙汰されており、その他にも横浜市長選挙や川崎市長選挙、さいたま市長選挙など政令指定都市の首長選挙など、地方選挙も目白押しです。

全世代で低下傾向にある投票率をどう向上させるのか、特に投票率が低いZ世代に向けた主権者教育はどのように行うのか。健全で成熟した民主主義を、私たちはどのように創りあげていくのか。

政治を、選挙を、「他人事」ではなく「自分事」として、一人ひとりが考えなければ課題は山積しているのではないでしょうか。

10年前に与野党のプロジェクトチームにご協力して18歳選挙権の成立に尽力しましたが、その実現よりも前から15年にわたり、主権者教育(シティズンシップ教育)に取り組むとともに、国・自治体・学校・青年会議所・メディアなどにご協力しつつ、若者の政治参加に関する「研究・実践・発信」に携わってきました。

今年は「18歳選挙権」実現10周年として、これまでの活動をさらにアップデートしていこうと考えています。

シンクタンク研究員としてデータと事例をもとに発信

このHPでもご紹介したように、昨年から(株)第一生命経済研究所に入社し、ライフデザイン研究部の主任研究員として仕事をしています。

主な研究領域は「教育や若い世代に関する分野」で、主権者教育や投票率などについても新しい角度から取り組んでいます。

昨年執筆し同研究所のHPに掲載されたレポート8本のうち、「シリーズZ世代考(1)なぜZ世代の投票率は低いのか~政治不信を乗り越える主権者リテラシーの醸成を~」は、10月のレポート閲覧ランキングのトップとなり、総選挙後2カ月以上が経過してもなお多くの方にお読みいただいています。

国や自治体の様々な選挙において、投票率が各世代でダントツに低いのが20歳代となっており、ちょうど「Z世代」と呼ばれる世代に重なっています。

第一生命経済研究所に着任以降、私はこの点に着目し、Z世代の投票率をどのように高めるのか政治参加だけではなく、価値観やキャリア志向、生活行動などにも視野を広げて、幅広い視点で研究しています。

各種データをもとにした分析だけではなく、様々な現場で取り組まれている先進事例なども含めて、分かりやすく発信するレポートや寄稿の執筆を心がけています。

2025年も「Z世代」に着目しながら、データと事例を駆使した発信に注力していきます。

神奈川県教委の座長9年目、小中学校での主権者教育を推進

神奈川県教育委員会では、全国に先駆けて主権者教育(政治的教養を育む教育)を小・中学校から導入しようと、2016年度に検討会議で指導資料を作成2017年度から実践協力校連絡会を設置して現在まで毎年「指導事例集」を公表しています。

検討会議から9年連続で座長を務めており、県内の小・中学校において、現場の教員や校長、市町村教育委員会等の指導主事とともに様々な科目や特別活動(社会科・公民科・総合的な学習の時間・国語・道徳・児童会/生徒会活動等)で実践と研究に取り組んできました。

事例集の作成にあたっては、事務局を務める神奈川県教育委員会の子ども教育支援課はもとより、実践協力校として公開授業に取り組んで下さった現場の先生方や支援された各市町村の教育委員会、県の教育事務所等の方々の多大なお力添えをいただいています。

今年の春には過去8年分の指導事例集を県教委のHPで掲載予定で、神奈川県のみならず全国各地の小中学校でも是非参考にしていただければと考えています。

神奈川県は主権者教育の先進自治体であり、かつて高等学校における主権者教育も含まれる「シチズンシップ教育」を推進する会議の座長も務めた(2018~2020年)ことから、小学校・中学校・高等学校の主権者教育モデルも推進していきます。

神奈川県教育委員会「小・中学校における政治的教養を育む教育」指導事例集(2017~2023年度)

各地の選挙管理委員会に協力して「選挙啓発講座」に登壇

2025年は前述のとおり、参議院議員通常選挙が実施される他、東京都議会議員選挙や横浜市長選挙、さいたま市長選挙など地方選挙も数多く予定されています。

地方選挙の投票率も低下傾向にあることを受けて、全国各地の選挙管理委員会や明るい選挙推進協議会は選挙啓発の講座に取り組んでおり、講師として長年登壇しています。

昨年の7月以降は、前述のとおり第一生命経済研究所の主任研究員として講師をお引き受けするようにしていることもあり、客観的なデータの分析をもとに、それぞれの地域に合った投票率向上の講演を展開しています。

また、選挙管理委員会の連合会での登壇も相次いでおり、「選挙イヤー」を迎えるにあたって、ますます依頼が増えるのではないかとみています。

講演では、「選挙アイデアシート」を参加者の皆さんに記入していただき、近くの座席の方と意見交換をする時間を設けたところ、大変好評をいただいています。

今年も引き続き、様々な依頼に応えて東奔西走、全国の自治体にご協力していきます。

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