解散総選挙を見据えた主権者教育の新たな実践
2020年は、新型コロナウイルスの感染拡大により、社会全体が大きく変化する中で、喫緊の課題を解決する政治のリーダーシップとは何か、私たち国民一人ひとりは政治にどう向き合うのか、改めて問われた一年になりました。
私自身は、国・自治体・学校等の依頼を受け、主権者教育の研究調査実践に関わる機会をいただくとともに、選挙ドラマの監修を通じてエンターテインメント業界にも携わり、若者の政治参加への様々なアプローチを模索することができました。
2021年は、衆議院解散総選挙が予定されていることもあり、コロナ禍を踏まえた主権者教育が求められるのではないでしょうか。
そんな年にあたり、重点的に取り組む主権者教育の3つのポイントをお伝えします。
総務省主催「若者フォーラム2020」で基調講演
2021年1月9日、総務省主催「若者フォーラム2020」に登壇し、基調講演とコーディネーターを務めます。
これまで各自治体の選挙管理委員会の公開講座等で講演してきましたが、総務省からの依頼は初めてとなります。
若者の政治的関心を高めることを目的に毎年企画されており、今回は「本質が分かれば差がつく 意見を持てる自分になろう」という内容です。
新型コロナウイルスの感染状況を考慮しオンライン参加(先着300名)となっています。
担当する基調講演では「選挙へ向けて一歩踏み出そう~体験!マイ争点~」として、秋までに実施される衆院選を見据え、政治参加や主権者教育について体験しながら考えることのできる内容を予定しています。
その後のトークセッションでは、ヤフー株式会社の伊藤羊一さん、一般社団法人NO YOUTH NO JAPANの能條桃子さん、タレントの井上咲楽さんとともに、様々な角度から「若者と政治」について取り上げます。
詳しいプログラムや申込方法(1月8日16時まで)については、総務省主催「若者フォーラム2020」をご確認下さい。
神奈川県の座長として小中学校で主権者教育を推進
神奈川県教育委員会では、全国に先駆けて主権者教育(政治的教養を育む教育)を義務教育段階から導入するべく、2016年度に検討会議を発足して指導資料を作成、2017年度から4年連続で実践協力校による取り組みを推進しています。
私は検討会議から座長を務めており、県内の小中学校において、現場の教員や市町村教育委員会等の指導主事とともに、社会科・総合的な学習の時間・国語・道徳等で授業実践に取り組んできました。(写真:昨年度の実践協力校の様子)
今年度は学校全体が新型コロナウイルスの影響を受ける中で、実践協力校の皆さんは様々な工夫を凝らして、各校ならではの「政治的教養を育む教育」の実践に取り組んでいただきました。
このコロナ禍での実践も含めた過去4年分の指導事例集は今年3月に発行予定で、神奈川県のみならず全国各地の小中学校でも是非参考にしていただければと願っています。
神奈川県では、これまでに高校での主権者教育が位置づけられる「シチズンシップ教育」を推進する会議の座長も務めたことから、その経験を踏まえて、小学校から高校まで12年間を見通した段階的かつ継続的な教育のビジョンを提示したいと思います。
コロナ禍での選挙に向けた主権者教育の実践
2021年は前述のとおり、秋までに衆議院議員総選挙が実施される他、東京都議会議員選挙や横浜市長選挙、さいたま市長選挙など地方選挙も数多く予定されています。
今年は18歳選挙権を盛り込んだ改正公職選挙法が施行されて5年目となります。
18歳と19歳の投票率が低下傾向にある中で、20代も含めた若い世代の政治参加をどう促すか、そして「18歳選挙権ブームが過ぎた主権者教育」をどう立て直すかが重要なポイントになります。
学校における主権者教育の授業実践はもちろん、全国の青年会議所(JC)や選挙管理委員会による公開講座等の充実にも一層貢献したいと考えています。
特にJCによる事業のモデルになるのが、2019年度名古屋JCの主権者教育事業です。名古屋市内の3高校において、参院選を見据えた主権者教育を企画し連続で実施しました。
また、コロナ禍で多くの生徒を集めることが難しい中、私のもとには主権者教育をオンラインで実施したいという依頼も相次いでおり、Zoom等による講演で対応しています。
オンラインでも参加型の主権者教育は実施できますので、国政選挙・地方選挙を問わず、ご関心のあるJCや学校、選挙管理委員会等の皆さんはご相談いただければ幸いです。
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