コロナ禍の学校現場で求められる主権者教育「マイ争点」
2020年8月28日、安倍晋三内閣総理大臣が辞任を表明しました。
自由民主党は直ちに総裁選を実施するわけですが、次の首相の意向次第では、来年10月に任期満了を迎える衆議院について、解散総選挙を行う可能性も出てきています。
次期衆院選では、立憲民主党と国民民主党の合流による新党結成も含め、これからの日本を託すリーダーは誰なのか、与党と野党による「政権選択選挙」の意味合いが強くなると考えられます。
今年は18歳選挙権(改正公職選挙法)が成立して5年でもあり、若年層の投票率が低い水準になっていることから主権者教育のあり方が問われています。
既にご紹介しているように、10年以上にわたり主権者教育の一翼を担ってきた者として、高校生への講演依頼やメディアからの取材を多く受けています。(写真:昨年の参院選での東京新聞記事)
主権者教育は本来、日常的かつ継続的に、義務教育から段階的に取り組んでいく必要があり、選挙の時だけ盛り上がるべきではありません。
これは、神奈川県教育委員会の座長として、4年前から全国に先駆けて推進している「小・中学校における政治的教養を育む教育」のように、民主主義社会の基盤を支えるために、地道で息の長い取り組みこそが主権者教育の本質だと考えているからです。
とは言え、一人ひとりが投票先を考え行動するためには、選挙を題材にした主権者教育を手掛かりに、政治参加をしていくことが大事です。
主権者教育のプログラムとして、私が全国の学校で実践しているのが「マイ争点」です。
これは、2016年7月の参院選を前に、かつてシチズンシップ教育アドバイザーを務めていた神奈川県立湘南台高校での授業実践を参考にして作成した主権者教育です。
4年前の参院選を前にした静岡県立韮山高校での講演をきっかけに、高槻高校や愛知高校、横浜市やさいたま市等、多くの高校や自治体で取り組んできました。
「マイ争点」は、自分の関心のある政策テーマを選び、その政策テーマの「具体化・理由・問題点・解決策」を考えていくものです。
選挙のたびに、「報道を見ても、争点が(多くて・少なくて)よく分からない」という声を聞きますが、それなら自分が大切にするポイント(=マイ争点)を考えてみればいいのでは?-という逆転の発想からきています。
授業に際しては、オリジナルのワークシートを用意(写真参照)するようにしています。
今年はコロナ禍の影響で休校せざるを得なかった学校が多く、カリキュラム全体に遅れが生じたことで、主権者教育まで手が回らないという現場が続出しているようです。
たしかに、主権者教育は、総務省・文部科学省が作成した副教材「私たちが拓く日本の未来」をはじめ、従来の模擬選挙や模擬議会等を行うには一定の授業時間が必要ですが、コロナ禍の現状に合わせられる授業プログラムが大切です。
私自身も多くの授業案を企画・実施してきましたが、全国の学校で好評をいただいている「マイ争点」であれば、授業時間1コマでも十分、政治や選挙について「自分のこと」として考えることができます。
「マイ争点」を含めた主権者教育の講義は、私が学校現場に伺う従来のやり方だけでなく、オンラインでも取り組むことが可能ですので、関心のある先生や生徒の皆さん、学校や教育委員会、青年会議所や民間団体等の方々は是非ご相談下さい。
コメントを残す