「生徒会予算の分配」を「校庭の使い方」にアレンジ
2017年8月1日、横須賀市教育研究所が主催する「平成29年度 教育課題研修講座」が開催され、私が講師として、基調講演と実践ワークを担当しました。
市内の小学校・中学校の先生方を中心に約40名が参加されましたが、特徴は「社会科以外」の教員が多かったこと。
今年5月に福井県で実施された「主権者教育指導者講習会」もそうでしたが、自治体も徐々に、主権者教育を社会科の先生方のみならず幅広い教科の先生方にもということで、創意工夫を凝らしています。
横須賀市の講座は、昨年の秋に、横浜市で開催されたイベント「小・中学校における主権者教育(シティズンシップ教育)を考える」に参加されていた市教育研究所の方が、終了後に「ぜひ横須賀市でも講演していただけないか」と相談に来られたのがきっかけ。
大変有り難い依頼であり、足掛け1年掛かりの企画として実現しました。
基調講演では「主権者教育の現状と展望」と題して、18歳選挙権や主権者教育の現状や新たな試みについてご紹介しましたが、実践ワークでは今までの「生徒会予算の分配」を考えるプログラムをテーマを差し替えて実施。
というのも、「生徒会予算の分配」は、多くの高校では生徒会活動において通常実施されているテーマですが、小・中学校では行われていないケースが一般的であり、会場に参加された先生方にとって、「学校でも導入できる実践的なテーマ」に替える必要があると判断したからです。
そこで、今回の実践ワークでは、「生徒会予算の配分」ではなく「校庭の使い方」をテーマに、同様のプログラム(枠組み)で行ってみるという初めての試みに挑みました。
小・中学校の違いを反映したプログラムを作る必要性
「校庭の使い方」について、「活動実績」「部員の数」「一律同数」という、これまでの「生徒会予算の分配」と全く同様の基準(選択肢)で考えてみようとしたわけです。
結論から言うと、プログラムの枠組みそのものは好評だったにもかかわらず、テーマについてはそう簡単にはいきませんでした。
これまでの「生徒会予算の分配」については、高校教員を対象に「模擬授業」を実施しても、自分の学校でも実施できるという手応えを感じていらっしゃる場面がありました。
ところが、小・中学校の先生方は「校庭の使い方」というテーマについて異論を持たれたようです。
・ワークシートの演習は子どもたちにやらせたいと思ったが、このテーマが難しかった(校庭でやるクラブは規模も内容も違うため)。
・校庭の使い方で、生徒・児童が決めることはなく(顧問の話し合い)、討論用テーマとしては難しい。
・演習のワークシートは公立中学校の実態には合っていないのでは。例えば、テニス部のテニスコートのように既に所定の場所がある部については「使い方」を考える必要がない。
・今回の演習は、小学校と中学校の差があまりにも多かった。小・中学校別にやれば、もっと活発な意見も出たのではないか。
など、「校庭の使い方」というテーマでは実施が難しいとの声をいただきました。
その上で、プログラムはそのままに、新たなテーマを提案して下さった先生方も。
・休み時間に体育館で遊べる学年の基準について
(A)年齢:年上(6年生)or年下(1年生)優先で回数を多くする
(B)人数:人数の多い学年優先に回数を多くする
(C)一律:学年一律に回数を決める・小学校では「学年等の校庭の割り振り方」「ボール等の用具貸出の割り振り方」。中学校では「生徒会予算の配分」でも実施できるのでは。
その他にも、たくさんの意見・提案がありましたので、ぜひ参考にさせていただきます!
確かに、座長として作成・実践にあたっている、神奈川県教育委員会「小・中学校における政治的教養を育む教育」指導資料では、小・中学校別、またそれぞれの学年別に、授業事例が紹介されています。
今回の横須賀市での研修講座の経験を活かして、私個人としても、新しい小・中学校向け主権者教育プログラムの考案に果敢に取り組んでいきたいと考えています。
写真・アンケート提供:横須賀市教育研究所
コメントを残す