自治体の選挙啓発のあり方について特集
2023年3月24日付の都政新報に「追跡 杉並区ボートマッチ中止」という特集記事が掲載され、主権者教育に関する識者としてのコメントが掲載されました。
杉並区のボートマッチは、「積年の課題となっていた若年層を中心とした投票率向上のために、既存の啓発事業にとらわれないインターネットを活用した新たな手法の啓発事業」(杉並区選挙管理委員会)として準備が進められていました。
しかし、総務省から「区選挙管理員会が当該事業を実施することは選挙運動と認められる恐れがあること、選挙後の争訟において選挙無効と判断されるおそれがあることなど」(同上)が指摘され、実施を断念するに至りました。
民間主体ではなく自治体がボートマッチを企画するのは初めてのケースだったため、賛否両論で注目され、メディア各社が取り上げるなど全国的なニュースになりました。
今回の都政新報では、断念した後の杉並区の動きや公募で選ばれた委員の声を紹介しつつ、ボートマッチの課題や今後の展望についてコメントしています。
主権者教育に詳しい慶応大学SFC研究所の西野偉彦上席所員は、投票率が10代に比べ20代で低くなる傾向にあることについて、「主権者教育が高校で行われる機会も増えたが、大学や専門学校では十分に行われていない。一般教養として学べるようにすべき」と話す。
都政新報2023年3月24日付より
杉並区のボートマッチについては「委員を公募する前に区選管が検討を十分に行うべきだった。区報の公募委員の募集要項にも『公平中立の立場で検討できる人』とあったが、何を基準に公平中立か担保するのは難しい」と指摘。その上で昨年11月から検討を始めたが「今年の区議選でなく、将来的な導入の可否も含めて時間をかけて検討するプロセスが必要だった」と話し、「今回の論点や課題を整理して自治体の選挙啓発に生かしてほしい」と注文する。
杉並区ではありませんが、私自身も各地の選挙管理委員会や明るい選挙推進協議会にご協力して、主権者教育と組み合わせた選挙啓発に関わっていますが、その際に最も大事にしているのが「公平中立」(政治的中立性)の観点です。
今後もこの観点を担保して様々なバリエーションの選挙啓発を展開していきます。
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