主権者教育を「特出し」せず、自然に学校に溶け込ませる工夫を
10月11日(月・祝)、横浜・関内ホールで、「小・中学校における主権者教育(シティズンシップ教育)を考える~18歳選挙権で主権者教育が普及し始めた今~」が開催され、基調講演&パネルディスカッションに登壇しました。
このシンポジウムは、主権者教育の草分け的存在であるNPO法人ど・あっぷ!の設立10周年記念として企画されました。
最初に講演した私は、「主権者教育の現状と展望~18歳選挙権をブームで終わらせないために~」と題しました。
2016年夏の参院選における18歳・19歳の投票率について都道府県別に概観した上で、文部科学省等が作成した「副教材」を参考に行われた主権者教育の内容と課題を指摘しました。
そのうえで、課題を克服するための新たな授業プログラム「社会的意思決定学習」について紹介し、主権者教育をブームとして「特出し」することなく、社会科・総合的学習の時間・特別活動等に〝自然に溶け込ませていく〟ことの大切さを訴えました。
私以外に登壇されたのは、共同通信社論説副委員長の川上高志氏、元TBS報道アナウンサーで慶應義塾大学特別招聘教授の下村健一氏です。
川上氏は、主に18歳選挙権を盛り込んだ「改正公職選挙法」の成立過程や憲法改正に関わる政治的背景、前述の主権者教育の「副教材」の作成等に関して、長年にわたり政治記者として取材をされてきた観点から、分かりやすく解説して下さいました。
下村氏は、四半世紀にわたるアナウンサーやキャスター、内閣広報室審議官としてのご経験をフルに活かして、現在各地の小学校で行っている「メディアリテラシー」の模擬授業を展開され、主権者教育(シティズンシップ教育)の根幹である「メディアとの向き合い方」「情報を送受信する方法」などについて、非常に多くの示唆と学びに富む時間を演出されました。
NPO法人ど・あっぷ!の実践報告を挟んだパネルディスカッションでは、私たち3名だけでなく、会場にお越しいただいた、主に神奈川県内の小・中学校の教員、教育委員会、NPO関係者らの声を伺いながら、18歳選挙権で脚光を浴びることになった主権者教育について幅広く意見を交わすことができました。
現在、私は神奈川県教育委員会が設置した「小・中学校における政治的教養を育む教育」検討会議で座長を務めていることもあり、基礎自治体の方からは来年度予定されている教員向け主権者教育に関する研修会の講師依頼もいただきました。
このシンポジウムで得た多くの学びや気づき、パネリストや来場者、主催者の皆さんとの意見交換を踏まえて、小・中学校の段階から始まる主権者教育のあり方を一層追求し、現場での実践・研究・提言に取り組んでいきたいと思っています。
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