小学4年生がゴミ問題で「合意形成」を学ぶ
2018年11月6日、神奈川県秦野市にある大根小学校で、「総合的な学習の時間」をテーマにした研究授業・研究協議が開催され、有識者の講師としてお招きいただきました。
秦野市小学校教育研究会の「総合的な学習の時間」部会で、市内の小学校教諭が約30名参加され、大根小学校4年生の授業を見学しました。
私は、神奈川県教育委員会「小・中学校における政治的教養を育む教育」検討会議で座長を務め、2017年度からは実践協力校連絡会座長として、全国に先駆けて、義務教育段階での主権者教育を推進しています。
今回の研究会は、「政治的教養を育む教育」と直接関わるものではないものの、「小学校における総合的な学習の時間の取り組みについて、主権者教育の専門的な視座から関わっていただけないか」という、現場の先生方からの依頼をいただき、参加しました。
大根小学校では、4月から約半年をかけて「ゴミ問題」をテーマとする総合的な学習に取り組んできました。
これまでに、「秦野市のゴミの分別」等について調べる家庭学習、「はだのクリーンセンター」の校外学習、地域の伝統行事「秦野たばこ祭」やJT(日本たばこ産業)主催の「ひろえばまちが好きになる運動」への参加等を通じて、様々な視点から「ゴミ問題」について考えてきたそうです。
見学した授業では、実際の社会参画に繋げていくために、ゴミ問題について、「身の回り」から取り組むべきか、「大根のまち」から取り組むべきか、異なる意見を1つにまとめる「合意形成」について学ぶ、というのが趣旨でした。
率直な感想としては、小学4年生(9~10歳)がここまで深くゴミ問題について学び、明確に自分の意見を言い、周りの意見を尊重・反論しつつ、合意形成の難しさと大切さを真剣に考えられている姿に、本当に驚きました。
これは、授業を行った担任の先生による地道な創意工夫と、総合的な学習に長年取り組んできたご経験を持つ教頭先生はじめ、日々の教育実践があるからこそだと感じました。
研究授業の後に行われた研究協議の中で、私からは、国内外の事例を挙げながら、「当事者性の高いテーマ設定」「(ゴミ問題で困っている人に対する)想像力の育み方」「合意形成の意味と手法の学び方」について講演をさせていただきました。
この研究授業が行われた大根小学校は、来月(2018年12月)にも、今度は「政治的教養を育む教育」の実践協力校として公開授業に取り組む予定です。
素晴らしい授業実践に相次いで挑戦される同校の姿勢に敬意を表しつつ、是非とも他校でも同様の取り組みが広がることを願っていますし、今回のようにご協力できればと考えています。
※写真提供:秦野市立大根小学校
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