全国で好評!参院選「マイ争点」を考える取り組み
2019年7月21日は第25回参議院議員通常選挙の投開票日です。今回の参院選は、18歳選挙権施行3年でもあり、特に若年層の政治参加や投票率が注目されています。
既にご紹介しているように、私も高校生への講演依頼やメディアからの取材を多く受けており、10年以上にわたり主権者教育の一翼を担ってきた者として、精力的に活動・発信をしています。
主権者教育は本来、日常的かつ継続的に、義務教育から段階的に取り組んでいく必要があり、選挙の時だけ盛り上がるべきではありません。
これは、神奈川県教育委員会の座長として、4年前から全国に先駆けて推進している「小・中学校における政治的教養を育む教育」のように、民主主義社会の基盤を支えるために、地道で息の長い取り組みこそが主権者教育の本質だと考えているからです。
とは言え、参院選の選挙期間に入っている今、一人ひとりが投票先を考え行動するためには、主権者教育を手掛かりに、選挙と向き合い、政治参加をしていくことが大事です。
具体的な主権者教育プログラムは多様で、私自身も多くの授業案を企画・実施してきましたが、今回ご紹介するのは、全国各地で好評をいただいている「マイ争点」です。
これは、2016年7月の参院選を前に、かつてシチズンシップ教育アドバイザーを務めていた神奈川県立湘南台高校での授業実践を参考にして作成した主権者教育です。
初めて実施したのは、ちょうど3年前の参院選。静岡県立韮山高校(静岡県伊豆の国市)にて全校生徒850名に実施し、新聞にも取り上げられるなど大きな反響がありました。
「マイ争点」は、自分の関心のある政策テーマを選び、その政策テーマの「具体化・理由・問題点・解決策」を考えていくものです。
選挙のたびに、「報道を見ても、争点が(多くて・少なくて)よく分からない」という声を聞きますが、それなら自分が大切にするポイント(=マイ争点)を考えてみればいいのでは?-という逆転の発想からきています。
授業に際しては、オリジナルのワークシートを用意(下)するようにしています。
ネット情報を「見極め熟慮する」主権者教育を
この「マイ争点」の授業をする際に大切にしたいのは「情報を見極め熟慮するプロセス」です。
高校での授業の際、私は生徒の皆さんにこう問いかけます。
「例えば、経済財政って何を指しているんでしょうか?年金って毎月いくらもらえるか知っていますか?TPPって何の略でしょうか?分からない人は、スマートフォンやパソコンなどを使って調べてみながら書いて下さい」
もちろん、携帯端末の持込や使用を禁止している学校もありますが、実際の投票に際し情報を収集するためにインターネットは重要なツールです。
ネットに溢れている情報の中で、有権者としてどれを信頼(取捨選択)すればいいのか。
いわゆる「選挙ネットリテラシー」を身に付けるためにも、こうして主権者教育と連動していくことも大事ではないでしょうか。
写真は2019年6月29日に名古屋国際高校で実施した「マイ争点」の様子です。生徒の皆さんはスマートフォンやノートパソコンを使いながら、熱心に取り組んでいただきました。
ネットで調べると同時に、生徒の皆さんには「周りの友達と話しながら書いても構いません。途中でもどんどん話してみて下さい」とも言います。
(1)の政策項目を考えるだけでも主権者教育として有効ですが、(2)は難しいため途中で一人では書けなくなる場合もあります。
でも、それこそ主権者教育の意味があるのです。
そもそも正解がない社会問題、政策テーマをどう考えていくのか。自分の頭の中で深めることも大切ですが、その過程で周りの人たちと議論することも欠かせません。
熟慮する中で、周りと話して自分の意見が変わったり、新たな見方や考え方に気がつくことも、主権者教育の大切な要素だからです。
「マイ争点@選挙」に関心をお持ちになった先生や生徒の皆さんは、是非ご相談いただければと思います。
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