2年連続!栃木県立小山高校で主権者教育を実践!

高校1年生240名が「自動販売機の設置」について議論!

2017年9月20日、栃木県立小山高等学校にて、1年生全員240名を対象に、主権者教育の実践型講演会が実施されました(JTBと公益財団法人松下政経塾による連携事業)。

18歳選挙権が導入されたことを契機に、高校生が国や社会の問題を自分のこととして捉え、政治への関心と意識を高め、積極的な参画を促すために実施されています。

私がプログラム全体を考案しているのですが、実際の政策をそのまま取り上げるのではなく、高校生にとって「身近な社会」である学校生活の課題をもとに、政治について考えていく手法を採用。

特に「限られた予算(資源・財源)を、多くの生徒が納得できるようにどう分配していくか」というテーマを軸に据えることで、今日の日本の重要な政策課題を考えられるフレームを提供しています。

小山高校では昨年に「生徒会予算の分配」で実施したところ、有り難いことに、先生方や生徒の皆さんから好評をいただいたので、2年連続での講演会が実現しました。

今年度のテーマは、事前に同校1年生に対して実施した「学校生活において自分たちが解決したいこと」というアンケートの中から、回答が最も多かった「自動販売機の設置」

昇降口に2台ある自動販売機が遠くて不便である、ということから、1年生の階に新しく設置したい、という要望をヒントに考案しました。

プログラムでは、まず3つの選択肢から1つを選んで模擬投票を行います、

なぜ自分はその選択肢を選んだのかを考えつつ、自動的にグループを分けて、ディベートと立会演説を経て、2回目の模擬投票を実施。

最後に、3つ以外の選択肢(第4の選択肢)を創り出し、周りの人と意見交換をして発表します。

プログラムの事前には18歳選挙権の意義と課題について、事後にはプログラムの目的について、それぞれ分かりやすく解説することで、身近な学校生活から政治を考えることの重要性を伝えています。

興味深かったのは、1回目の模擬投票では「(1)1年生全員から500円ずつ集めて新設」が全体の3分の1を占めていたものの、2回目の模擬投票ではそれが大幅に減り、最終的には「(3)現状維持」が3分の2以上を占めたということ。

これは、グループ討論の中で、負担を全員に求めることの難しさや妥当性(自販機が新設されない)他学年の説得等の現実的な課題に気付く生徒が多く、それならば(仕方なく)現状維持でいいのでは、という結果につながったのではないかと考えられます。

実際に、「第4の選択肢」(上記3つ以外の選択肢)を考えるセッションでは、他学年との調整を踏まえて「真ん中の階」に自販機を新設する案など、合意形成を目指すための工夫が多く見られました。

こうした課題は本来、日常の生徒会活動で議論していくものでもあるので、今回のプログラムをきっかけに、小山高校での生徒会活動がさらに活発化することも期待しています。

衆院選が近づき、高校3年生への主権者教育の必要性が叫ばれていますが、この小山高校のように、日常的かつ1年生からの主権者教育を地道に実施していく姿勢こそ大切だと思っています。

今回の実践も踏まえ、今後も引き続き高校生の主権者教育を推進していきます。

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