朝日新聞社「未来メディアキャンプ2016」に取材協力!

記者と学生が社会課題を探求する「未来メディアキャンプ」

12月16日(金)、朝日新聞東京本社(中央区)にて、同社「未来メディアキャンプ2016」のインタビュー取材に応じました。

「未来メディアキャンプ」は、朝日新聞主催「記者が着目した社会課題について一般参加者と議論し、テクノロジーも取り込みながらソリューションを探すワークショップ」。

慶應義塾大学SDM研究科が特別協力し、同大学三田キャンパスを会場としています。

私は「政治参加」をテーマに活動しているチームから依頼を受け、「若者の政治参加」や「主権者教育」について1時間半ほどお話させていただきました。

インタビュアーは、朝日新聞政治部の記者の方と関西の大学4年生の方のお二人。

若者の政治参加に取り組む学生団体や、大学生のインターンを受け入れている国会議員等にも取材を行ってきたそうです。

私へのインタビューは、朝日新聞2016年10月31日付朝刊(全国版)フォーラム面「13歳からの主権者教育」のインタビュー記事をご覧になったのがきっかけとのこと。

質問は多岐にわたり、1時間半ほどお話をさせていただきましたが、面白いと思ったのは、彼らの問題意識の出発点が「19歳」ということ

「19歳が投票したくなる仕組みを考える」

この夏の参院選は、選挙権年齢の引き下げで18歳、19歳が初めて投票する国政選挙となりました。約240万人の新たな有権者が生まれ、私が担当していた自民党を含む各党が若者対策に力を入れました。ところが総務省の発表によると、投票率は18歳で51.17%、19歳で39.66%にとどまり、いずれも全体の投票率54.70%を下回ってしまいました。とりわけ、高校生が含まれる18歳と比べ、19歳の投票率の落ち込みが目立ちます。

そこでこの「19歳」にとくに焦点を当てながら、若者世代の投票率をどうやったら引き上げることができるのか、みなさんと一緒に考えてみたいと思います。

ただし、単に投票率を上げるノウハウを考えるだけではなく、選挙とは、民主主義とは何かというところまで掘り下げたうえで、対策を提示したいと思います。そもそもなぜ、私たちは選挙に行くべきなのでしょうか。米大統領選や英国国民投票で社会の分断が指摘されるなか、政治はどういった役割を果たすべきなのでしょうか。ぜひ一緒に議論しましょう。

(政治部・笹川翔平記者)

このブログでも取り上げているように、「19歳投票率」が今後の「若者の政治参加」や「主権者教育」にとって一つのポイントになってくると考えているからです。

「若者投票特区」で、①住民票を移さず電子投票でき、②全国の新聞支局から「若者向け選挙区情報」を提供せよ!

そこで、今回のインタビューで提案したのは、特に「進学や就職のために、地方から主に三大都市圏に出てきている19歳」にスポットを当てたらどうかということ。

地方から上京したり、大都市圏に出てきている若者の特徴の一つとして、「住民票が地元のままで移されていない」という背景が挙げられます。

そのため、「大学や専門学校、あるいは仕事などで忙しい」という理由で、選挙の際に帰省することができず、結果として投票に行くことができなかったという19歳が少なからずいると考えられます。

そんな19歳をターゲットにした私の提案が、

①住民票を移さずに電子投票できる選挙制度改革
②新聞支局のネットワークを使い「若者向け選挙区情報」を都市圏に提供

という2点を組み込んだ「若者投票特区」です。

この「未来メディアキャンプ」は、前述のとおり慶大SDM研究科の特別協力のもとで開催されているということもあり、社会課題解決のために「システム」をどう新しくデザインしていくのかが一つの重要な観点だと思います。

その意味で、①住民票を移さずに電子投票できる制度改革によって、「重複投票の恐れ」等の弊害を防ぐことができるようなシステムの構築ができれば、都市圏に出てきている19歳が地元に戻らなくても投票できるようになるのではないか、と考えたわけです。

ただ、投票の利便性を高めるだけでは必ずしも投票率が向上するとは限りません

上の表は、財団法人明るい選挙推進協会が2013年に発表した「第46回衆議院議員総選挙全国意識調査 調査結果の概要」で、「投票に行かなかった(棄権)理由」について尋ねたものです。

まだ19歳は含まれていませんが、少なくとも20~30代は、「選挙にあまり関心がなかったから」「政党の政策や候補者の人物像など違いがよくわからなかったから」という理由で棄権する割合が高いことが分かります。

選挙に関心をもち、誰に投票すればいいか判断できる」ようになるためには、何が必要なのでしょうか。

その対策が②新聞支局のネットワークを使って「若者向け選挙区情報」を都市圏へ提供

地方から出てきた若者たちにとって、地元の詳細な選挙情勢は、地元紙やローカルテレビ等で獲得できる機会は多いわけですが、遠く離れればそうも行きません

そこで、全国の新聞支局ネットワークを活用して、若者たちの地元の詳細な選挙情報、特に各政党・各候補の「若者向けのマニフェスト・政策」等を比較したり、それぞれの違いがわかるような内容を都市圏に提供できるようにするのはどうか、ということです。

現段階でも、国政選挙のたびに、メディア各社では、各選挙区の情報をインターネット上で見られるようなサイトを開設しています。

とはいえ、「都市圏にいる若者たちが地元の選挙区について知りたいという目線」でそのサイトが運営されているかというと、工夫する余地があるのではないでしょうか。

日本中どこにいても、自分の選挙区に関する必要な情報が得られ、電子投票ができるようになる。

いきなり全国展開することは難しいので、「若者投票特区」を設定し、実験的に取り組んでみたらどうか

普段のインタビュー取材では話さないようなチャレンジングな内容でしたが、私自身も「未来メディアキャンプ」に取り組んでいる気持ちで思い切りました。

大手マスコミが主催して、システムデザインを目指す大学院が協力しているのだから、「システムとメディアを活用する大胆な視点で政策提言を組み立ててみては?」と考えたからです。

あくまでもラフな案なので、実際に制度設計する上では課題が多いと思いますが、ご関心がある方は是非一緒に考えてみていただければ幸いです

いずれにしても、今回のインタビューを通じて、朝日新聞「未来メディアキャンプ2016」の取り組みに少しでもお役に立てたら嬉しいです。

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