高1にも主権者教育を!~社会科教諭の依頼を受けて~
先日、私立富士見中学高等学校(東京都練馬区)を訪問し、主権者教育のゲスト講師として授業を行いました。
富士見中学高校は完全中高一貫の女子校で、創立者は山種証券(現・SMBCフレンド証券)を興した故・山崎種二氏。
山崎氏は横山大観と親交が深く、近代日本画を多く収蔵している山種美術館を創設したことでも有名です。
今回は、同高校1学年240名を対象に、私が考案した主権者教育「社会的意思決定学習」を実施。
依頼のきっかけは、9月に開催した「主権者教育としての新しい生徒会シンポジウム」に、同校の社会科教諭の方が参加され、私の実践報告をお聞きになったこと。
今後、文化祭や生徒会活動が本格化していくなかで、生徒会予算の分配をテーマにした「社会的意思決定学習」を通じて、積極的に特別活動に参加してほしいという先生の思いに共感しました。
当日は、ロングホームルーム(LHR)の時間を活用し、休憩なしの65分間でプログラムを実施。
「社会的意思決定学習」は通常2コマで行っているので、やや駆け足になりましたが、生徒の皆さんの積極的な参加で、授業は非常に盛り上がりました。
「初対面の生徒たちの心をつかむこと」を大事に
既にご紹介していますが、私が考案した「社会的意思決定学習」は、「生徒会予算の各部活への配分」をテーマに、模擬投票・グループディベート・ミニ立会演説などを通じて、その分配の基準を考える授業です。
これは、「限られた財源(資源)をどうすれば多くの国民が納得するかたちで分配できるのか」という現代日本が直面する問題に対し、生徒にとって身近な「生徒会予算」というテーマから考えることができるものです。
國學院久我山高校(東京都杉並区)、駒込高校(東京都文京区)、作新学院高校(栃木県宇都宮市)、栃木県立小山高校(同小山市)などで実施しています。
プログラムの特徴としては、
①政治的中立性を問われない「身近なテーマ」
②今学校に求められている「アクティブラーニング」の要素がある
③最大2コマで終わる「授業時間」の確保
この3つの面で、現場の先生方から多くの賛同と共感をいただいています。
この授業を行う際に、プログラムの意義や目的とは別に、大切にしている点があります。
富士見中学高校でもそうですが、常に実施校の生徒とは授業当日に初めてお会いします。
いかに初対面の皆さんが緊張せず、普段の授業どおりの姿勢で、プログラムに取り組んでいただけるか。
また、私の話を「他人事」ではなく「自分事」として認識し能動的に授業に参加しようと思っていただけるか。
つまり「初対面の生徒たちの心をグッとつかむ」ことを意識してゲスト講師を務めるようにしています。
実際、授業を見学・運営に協力していただいた富士見中学高校の先生方からは、
・生徒をつかむのが上手で、ステージから降りて行っても生徒に嫌がられず自然にコミュニケーションをとっていた点がすごい。
・繰り返し説明していてわかりやすかった。自分の授業にも活かしたい。勉強になった。
・今回は主権者教育のイントロとしてとても良い内容だった。第2回、第3回を実施するとしたら、どうなっていくのか非常に興味がある。
好意的な評価を多くいただきました。
また、実際に授業を受けた生徒の皆さんからは、
・2年後には選挙で投票できるようになるが、政治に関しては何もわからなかったことが、身近で簡単な講義で考えることができて理解できた。
・生徒も参加するというスタイルの授業でとても楽しかった。挙手発言することが苦手な人でも自分の意見を言えるように工夫されているなと思った。
・生徒会の予算と18歳選挙権は全然関係ないと思ったけど、授業のまとめを聞いて、実はつながっていることが分かった。政治にも少し興味が持てた。
・自分の投票が反映されていることがわかって面白かった。
こうした声が多く聞かれ、主権者教育としての「社会的意思決定学習」にますます手応えを感じました。
授業展開の点では、まだまだ工夫の余地があることも分かったので、今後改善していきたいと思います。
※富士見中学高校ホームページでもご紹介いただきました → コチラ
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