6年連続!明治学院大学でゲストスピーカーに登壇
先日、明治学院大学横浜キャンパスで「公共政策論B」という講義のゲストとして登壇しました。
明治学院は母校です。この講義に限らず、卒業後は6年間、毎年欠かさずいろいろな先生方から授業に呼ばれたり、大学主催の討論会のコメンテータ等をお引き受けしています。
授業は政治学科が多いのですが、教授とのご縁で国際学科や心理学科にもお邪魔したこともありました。
テーマは「若者の政治参加」で、最近は18歳選挙権や主権者教育のカラーが濃い内容に仕立てています。
受講する学生は、18歳の1年生から22歳の4年生まで様々ですが、それぞれの関心分野に合わせたかたちで、主権者教育を体験してもらう参加型の授業を心掛けてきました。
今回の「公共政策論B」は大学2年生が対象なので、19歳・20歳の約100名です。
講演タイトルは、「18歳選挙権をブームで終わらせるな!~主権者教育の実践と研究を通じて~」で、今夏の参院選と主権者教育について解説しながら、現在開発中の「マイ争点」という新型プログラムを使いながら、政治参加の大切さに気づく内容を展開しました。
授業後に学生に書いてもらったリアクションペーパーには、
「選挙の前に西野さんの講義を受けたかった。今までどうやって候補者を選べばいいかわからなかったが、マイ争点を通じて自分が政治に求めていることがわかった。」
「若者の政治参加を広げるためには選挙前だけに主権者教育をやるのではなく、こうやって日常的に取り組むことが大事だと思った。」
「マイ争点に取り組んで、実際に自分にとって大事な政策を考えることがこんなに難しいんだとわかった。」
「周りの友だちと話しながら、スマホで調べながら、自分が投票する上で大切だと思う政策について考えることができた。投票権があることの大切さにあらためて気がついた。」
といった、授業に対する前向きな声がたくさん書いてあり、担当教員の先生からも来年度も引き続きゲストスピーカーを依頼いただきましたので、これを励みにしてまたお引き受けしようと思っています。
19歳投票率が低かった参院選~主権者教育を大学にも導入せよ~
さて、7月10日に実施された第24回参議院議員通常選挙の18歳・19歳の投票率をご存知でしょうか?
総務省によると、全数調査によって下記のような結果が出ています。
18歳の投票率・・・ 51.28%
19歳の投票率・・・ 42.10%
18歳・19歳の投票率・・・ 46.78%
20歳以上の投票率については抽出調査の段階なので、一概に上記の数値と比較することはできませんが、20代・30代の投票率よりも高かった可能性があります。
18歳選挙権が初めて導入された国政選挙の投票率としては比較的高い水準となったと言えますが、一方で気になるのが、18歳の投票率と19歳の投票率との差が9ポイント以上開いたという点です。
地域別にみると、18歳の投票率が40%未満だった都道府県はありませんが、
・19歳の投票率が「30%台」:
青森、岩手、秋田、山形、福島、茨城、栃木、群馬、富山、石川、福井、長野、静岡、和歌山、鳥取、島根、岡山、広島、山口、徳島、香川、長崎、熊本、大分、鹿児島、沖縄
・19歳の投票率が「20%台」:
愛媛、高知、宮崎
これを合わせると40%未満が計29県となり、全体の6割以上を占める結果になっています。
なぜ、19歳の投票率が低い結果になっているのでしょうか?この分析を行うためには、今回の参院選の結果だけでは不十分で、今後の選挙の結果を待たなければなりません。
ただ、現段階で考えられる理由としては、「‟18歳”選挙権が強調され過ぎて、‟19歳”が置き去りにされた感があったこと」と「19歳にとって主権者教育を受ける機会が18歳に比べて乏しかったこと」という点が挙げられます。
参院選の直前、新潟日報(7/2付朝刊)に掲載されたインタビューでも指摘しましたが、「副教材が高校生だけに配布され、大学生や専門学校生、働いている人ら『はざまの世代』に届きにくい」ことが問題ということです。
この指摘は参院選後に東京新聞(8/11付朝刊)に掲載されたコメントでも触れています。
若者に政治参加を促す「主権者教育」に詳しい慶応大SFC研究所の西野偉彦上席所員は、19歳の投票率が低かったことに「政府が作った主権者教育の副読本は高校では配られたが、卒業後の19歳に届くルートはないなど、19歳が蚊帳の外に置かれた面もある」と指摘。「国に頼らず、大学の一般教養科目に主権者教育を取り入れるなどの対策が必要だ」と話している。
18歳選挙権というのは「満18歳以上に選挙権が付与される」わけですから、当然19歳の人も選挙権が得られることになりました。
しかし、今回の参院選では、「18歳」の選挙権や「高校生の主権者教育」にスポットが当てられ、19歳がやや置き去りになっていたかのような印象があります。
実際に、主権者教育について取材を依頼された際、「大学で1・2年生に講演する様子はいかがですか?」と申し上げても、「いや、高校生の主権者教育に注目したいので」という反応が返ってきたことが度々ありました。
もちろん、高校生の主権者教育や政治参加が注目されることは非常に大事なことですし、長年このテーマに取り組んできた身としては感慨深いものがあります。
一方で、社会が19歳の政治参加に注目していることを示すこともまた大事であり、「19歳選挙権の置き去り感」を払拭することが求められていると思います。
そのためには、大学での一般教養科目や専門科目において「主権者教育の講座」を充実させることが必要です。私が母校の大学でのゲストスピーカーを続けていることもその一環ですし、他大学に招かれてお話しする機会も年々増えています。
例えば、関東学院大学では今年5月から新入生を対象にした主権者教育の講座が開設されるなど、大学での主権者教育導入の動きも徐々に始まっています。
「大学にも主権者教育を-」 この問題意識は、私のゲスト講座を受けた大学生たちからも多く聞かれたことですし、母校に限らず、是非いろいろな大学での主権者教育充実に関わっていきたいと考えています。
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