シチズンシップ教育の指定校で「マイ争点」も実施
2023年6月12日、神奈川県立相模田名高等学校(相模原市)の「シチズンシップ教育講演会」が開催され、講師として登壇しました。
神奈川県では、18歳選挙権が導入される前の2011年度から、県立高等学校及び中等教育学校でシチズンシップ教育を導入しています。
県教育委員会ではシチズンシップ教育を以下のように定義しています。
「これからの社会を担う自立した社会人を育成するために、学校から社会への円滑な接続を意識しながら、豊かな人間性や社会性をはぐくむため、さまざまな参加型・体験型の学習活動を重視して取り組むことで、生徒一人ひとりに、実社会で役立つ豊富な知識と経験をしっかりと身に付けること」
神奈川県教育委員会「シチズンシップ教育」指導用参考資料より
この指導用参考資料の改訂にあたり、2020年3月まで約2年間にわたり、県教育委員会の「シチズンシップ教育推進プロジェクト」の座長を務めました。
この指導用参考資料をもとに「いよいよ学校で実践!」というタイミングで、新型コロナウイルスの感染拡大が発生したため、シチズンシップ教育を含めて、現場で様々な試行錯誤がなされたものと思います。
県立相模田名高等学校では、2022年度からシチズンシップ教育「教育課程研究開発校」に指定され、多様な角度からシチズンシップ教育を推進されてきたそうです。
今年度は、全校生徒を対象にした「シチズンシップ教育講演会」が開催され、かつてシチズンシップ教育推進プロジェクトの座長を務めたこともあり、講演依頼をいただいたわけです。
当日は、コロナ対策で、2・3年生は体育館に参集、1年生は各教室でリモート中継、という形式で講演が行われました。
講演では、シチズンシップ教育の中でも特に主権者教育にスポットを当てるかたちで、若者の政治参加の意義や課題、海外の先進事例、全国で推進する主権者教育「マイ争点」の体験ワーク等、50分でコンパクトにまとめてお話ししました。
事後のアンケート結果では、「シチズンシップ教育についての理解が深まった」と答えた生徒は94.4%に上り、「18歳になったら投票に行こうと思う」と答えた生徒は86.4%でした。
・若者の選挙投票率が低い問題に関して、自分が投票できる年齢になったらなんとなくで済ませるんじゃなくて社会で起きてる問題を理解して自分の考えに近いものに投票したり行動したい。
神奈川県立相模田名高等学校「シチズンシップ教育事後アンケート」より
・18歳になったので選挙の機会があったら事前に調べて積極的に参加したいと思った。
・18歳になった時にちゃんと選挙に参加できるように今のうちから仕組み等を知っていきたい。
といった感想を沢山いただいた他、講演で積極的に挙手をしたり、スマートフォンを使用して周りの友人と話し合い、体験ワークに熱心に取り組んでいた生徒の皆さんが印象的でした。
この講演会の様子は、タウンニュース2023年6月29日付に掲載されました。
同校ではこうした講演会を行うだけではなく、どの教科でもシチズンシップ教育に繋がるような授業を展開する等、全国的に見ても公立学校として先進的な取り組みをしています。
シチズンシップ教育について、講演と日々の授業を組み合わせて地道に取り組む姿勢が素晴らしいと思いますし、県教委の座長を務めた私自身も多くの学びをいただきました。
同校を一つのモデルとして、神奈川県内でシチズンシップ教育を一層広げたいと思いますし、神奈川県にとどまらず国内の他の自治体・学校にも周知していきたいと考えています。
写真・事後アンケート提供:神奈川県立相模田名高等学校
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